研究日記Labo Diary
2023. 09. 07
フィグチョコレート
洋生菓子のトレンドが、流通菓子のトレンドに移行して行く傾向があります。
数年前からイチジクが洋生菓子で定番化してきている流れを感じ、イチジクを応用したチョコレートの開発をスタートしました。
弊社商品の中で最もご好評いただいている、商品にアップルチョコレートがあります。
このアップルチョコレートで最も注目すべき特徴は、水分が低いドライフルーツにチョコを掛けた商品でなく、(水分が残った状態の)半生のリンゴにチョコを掛けた商品である点です。半生のフルーツを応用したチョコ商品の品質をコントロールするには、商品の制菌、掛けるチョコをブルームしない様に制御する等、様々な課題があります。この様な課題を解決しアップルチョコレートは商品化されています。
アップルチョコレートに倣い、生のイチジクに近い風味、食感をが得られる様に、イチジクを半生状態で取扱い、商品化することを目標に開発を進めました。
生のイチジクに加糖し煮詰め乾燥させて水分をコントロールするアプローチ、ドライイチジクに加水加糖し煮詰めるアプローチなど、様々な加工方法を検討した後に、ドライイチジクを、じっくりと数日間かけて、シロップを浸透させる製法にたどり着きました。この製法が最も良好な食感、風味が得られることが解りました。
じっくりとシロップに漬け込んだイチジクにブランデーを塗布しチョコレートを掛けた商品が、magokoroフィグチョコレートです。
半生イチジク特有の風味、食感とチョコレートのマリアージュを是非一度お試しください。
2023. 08. 07
食品ロス削減について学びました②
捨てられる蜜柑の皮を使った商品の開発に取り組むにあたり、この機会に食品廃棄物を減らす「食品ロス削減」についてみんなで学ぶ時間にしたらいいのではないかと考え、岐阜県庁県民生活課の服部哲明氏にご協力いただき、大垣養老高等学校の食品科学科の生徒さん15名に向けて授業をして頂きました。
服部哲明氏は過去に高校の校長先生として教鞭を取られていたというご経歴があり、
日本の食品ロスをめぐる現状(年間一人当たりの食品ロス量は42㎏!)や簡単に取り組める「食品ロス削減対策」について、とても分かりやすく教えて頂きました。
商品開発を通してみんなで「食品ロス削減」について考える時間となりました。
みかんの皮からどんな商品が今後開発されるのか、楽しみにしてくださいね。
【簡単に取組める 食品ロス削減例】
●お買い物時、商品は賞味期限の短い手前の商品から取りましょう
●お買い物時、買いすぎないようにしましょう
●外食時、注文した商品は残さず食べるようにしましょう
皆さんも食品ロス削減に簡単に取り組めること、良かったらはじめてみてください。
2023. 07. 27
食品ロス削減について学びました①
岐阜県大垣養老高等学校の生徒さんと2021年に一緒に開発した「濃厚にごりじゅれ」。
これは規格外で市場に出ないような果物を、皮ごと粗く搾った、にごりがある「あらごし果汁」をゼリーにする事で、濃厚な果物の味わいと食感が味わえる商品です。
この商品を通して、規格外の果物を捨てる事なく商品として活用する事ができたのですが、
果汁を搾った後の果物の皮が大量に廃棄されている、という新たな課題を見つけました。
2023年に入り、その課題を解決した商品づくりがおこなえないか、いとおかし工房では開発を進めています。
捨てられるみかんの皮からどんな面白い商品が生まれるか、楽しみにしていてください。
次に続きます。
2022. 12. 07
ハーブ農園から
『モノ創りをする商品開発の仕事は楽しい仕事でよいですね』とたまに言われます。
お菓子の商品開発における、味や食感を決める業務が、発想力や創造性を重要視した、自由気ままに行える仕事に見えるので、そういったご指摘があるのだと思います。
しかしながら、企業で商品開発をすることは、気ままさとは無縁である、きめ細かな調整業務の連続です。もちろん発想力や創造性も重要なのですが、実は、顧客(小売、流通)の意向、市場環境、消費者動向、製造適正、安全衛生、原料事情などをロジカルに分析し、それぞれのステイクフォルダーとコミュニケーションしながら仕上げて行く、地味で緻密な作業です。
この緻密な作業を結集させ創った商品が、世に出て、評価されるときに、この仕事のやりがいを感じます。
12月1日に販売開始された『ハーブ農園から』は、まさしく緻密な作業を積み重ねて出来上がった努力の結晶の様な商品です。
JRエキナカのコンビニエンスストア ニューデイズなどでお買い求めいただけます。
みなさまにも、是非お試しいただきたい商品です。
2022. 05. 23
最近創った商品について
お菓子の開発者として以下のことを自問しながら商品開発に取り組んでいます。
①この製品が市場でイニシアチブを取れる商品であるか。
②消費者が満足できる商品設計になっているのか。
③既存の生産ラインの稼働率を上げることが第一義に成ってしまっていないか。
④発売ありきの商品開発をしていないか。
⑤他社の後追いになっていないか。
最近、少しづつですが要件を満たした商品を創ることが出来てきた様な気がします。
生み出した商品が、皆さまに受け入れていただけると嬉しいです。
2022. 04. 06
ひとりじめスイーツピスタチオ
市場でピスタチオフレーバーのお菓子が盛況です。各社商品を投入しており、いろいろな種類のお菓子が楽しめること、一消費者としてもとてもうれしいです。また各社『ピスタチオ』の味創りに特有の解釈を行っていること、商品開発者として楽しみながら注目しています。
弊社でも主力ブランドの『ひとりじめスイーツ』に今春『ピスタチオ』を導入し、ご好評いただいています。洋生菓子の世界では以前より定番フレーバー化していた『ピスタチオ』が、一般の加工菓子で一気に商品導入される兆候を、一昨年頃から感じていました。海外での商品開発状況を反映した商品がバレンタインデーのチョコイベントなどで多く見られる様になって来たことを受け弊社でも一昨年より商品開発に着手していました。結果として最盛期にタイムリーな商品導入ができたこと非常に良かったと考えています。ナチュラルなピスタチオ風味の中に特有のコク味を付与したフレーバリングが特徴の、『ひとりじめスイーツピスタチオ』 是非一度お試しください。
2022. 02. 21
濃厚にごりじゅれ
3月7日発売される新製品ゼリー『濃厚にごりじゅれ』は開発者として思い入れがある商品です。この商品は、皮ごと粗く搾った、にごりがある「あらごし果汁」を使うことで、濃厚な果物の味わいと食感が味わえる商品です。
「あらごし果汁」を受け入れる際に、通常の製造オペレーションでは対応できない課題が生じました。「あらごし果汁」には繊維分が一定量含まれています。この繊維分が特有の舌触りと濃厚さを生んでいます。しかしながら果汁から異物を除去する製造工程で繊維がストレーナーを詰まらせてしまうという問題が生じました。そこで、ストレーナーの目開サイズの調整、目開サイズを大きくした場合のリスク回避といった課題に取組みました。結果的に適切なサイズのストレーナーを選定し、異物と勘違いされ易い皮や繊維由来の着色粒などに対する注意表示を強化することで、濃厚な味、食感を担保しながら、異物に対するリスクを回避することができました。繊維分を製品に活用することで不要な廃棄ロスを減らすことができています。SDGsの観点でも社会の期待に沿った商品になっていると考えています。
思いを込めて開発した「濃厚にごりじゅれ」の濃厚な味わいを、是非お楽しみください。
2022. 01. 19
植物性ミルクの応用
商品開発をする際に、気をつけていることがあります。第一にお客様に受け入れられ易く、支持が得られる商品をつくること。次に企業活動の一環で商品をつくる訳ですから、良く売れること、適切な利益が出ることを考えます。売れる商品をつくるためには、業界や市場のトレンドを上手くキャッチし商品開発する必要があります。開発には一定のリードタイムが必要なので、先読みして開発テーマを選定する必要があります。但し、我々の様な規模のメーカーには、一からトレンドをセットすることは難しいので、全く市場が無いカテゴリーに早すぎる商品投入をすることは控え、タイミングを良く商品をリリースすることを意識しています。今、最も注目されている(豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクなどの)植物性ミルクについては一昨年より注力して商品開発を進めて来ました。プリン、キャンディ、キャラメル、チョコレートの試作検討が進んでおり、もう少しで商品のリリースが出来る段階まで来ています。
2021. 12. 06
新ハーブキャンディ開発における発想の転換
キャンディ市場は飽和しており我々の様な中小メーカーは小手先の商品開発では目新しさを訴求できません。『存在感を出し且つ受け入れられ易い商品を開発する』という命題に対し、いとおかし工房が出した答えは『大手がやり難い事に着手する』という考え方です。チョコのbean to barからヒントを得てキャンディを一から作ったらどうなるだろう…そんなアイデアから『ハーブ畑に自ら出向きハーブの栽培から関与し、そのハーブを自社で蒸留し、ハーブ精油を得てキャンディをつくる』という新ハーブキャンディプロジェクトがスタートしました。
2021. 05. 27
薄荷のはなし
和薄荷のしずく飴の原材料は、砂糖(北海道産)、水飴、ハッカ油(北海道産)のみです。ハッカ油は薄荷の葉を水蒸気蒸留(葉を蒸して含まれるハッカ油を揮発させて取り出し、冷却して水と分画する手法)で作られます。数百キログラムの薄荷の葉から採れるハッカ油はわずか数グラムです。運ぶ時、荷が少なくて済む、これが薄荷の名前の由来です。
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